文学フリマ13回の読んだ聴いた感想

文学フリマ13回へ出掛けた(20111103)から。タイトル変更してここにまとめることにした。どれも面白かった。読んだ順に書いてってる。

「エレベーター・ボーイ」クラブ・スレイラ 佐藤真二

短編SFということで、世界観の曖昧さはよい意味で気楽だった。
水嶋ヒロの「KAGEROU」を彷彿とさせられる感触であった。助詞の用法で気になった箇所が幾つかあったのだけれども、全体の中で味になっていたように読めたので、これはこれで面白い発見になったかな。

急転直下に、こういう方法、それはこの手の作品としてはベタなのだけれども、なるほど良い意味で手軽なカタチに収められるのだなと感心した。

「不況」という単語が地味に異彩を放っていて、気になる。

サクっと読めて面白かったです。ありがとうございました。横書きであることには、何か意図があるのか、気になる。細事といえば細事だ。

「110フィルムを使う… オモチャのカメラの本」 デュアルパトローネ

ドラえもんのカメラが置いてあったからお話を聞かせてもらった。藤子F先生はカメラが好きだったが、藤子グッズのカメラ商品な、オバQが可愛いということを再認識する。ドラえもん「パチリンカメラ」進化の歴史も面白かったが、キューティーハニーのカメラ登場による女子カメラブームの予感という点はなるほどと思わされること非常に面白かったな。カメラ史研究みたいなので合意でもありそうだけど、どうなんだろうか。いや、しかしオバQ可愛い。

はじめて手元に置いたカメラのフィルムはAPSという形式だった気がするけど、これも簡単に廃れたタイプなんだなぁ。ははは。色々と勉強になりました。ありがとうございました。

オツベルと象萱島雄太

宮沢賢治の原作を漫画化した作品らしいのだが、宮沢賢治をほとんど未読なのでそもそも原作を読んでいない。からして、イメージが如何になっているのか、皆目見当がつかないのだがしかし、とりあえず感想を書いてから原作を読もうかと。

オツベルさんと象とのすれ違いがあるとは思うのだが、すれ違うというからには一方でそれなりの交流があったわけであって、そのへんの情緒は描写され切られてはいけないのだろうけれども、個人的にはもうちょっと欲しかったか。

「無気力」や「心配症」やらとオツベルさんとの関係ってのは信頼なのか、ただの雇用契約なのか。色々と謎があるので、やっぱり近いうちに原作を読もう。ありがとうございました。

「なおっちの夢にっき 海底から宇宙まで」 杜秋夫

なかなか深いというか難しい点がある。猫が冒険する。左ページに描かれる地点ガイドが一番印象的だった。地球儀でスポットされるのは面白い。海底の散歩に三隻もの船を使うのは贅沢だな!

地球に還ってくるに及んで、果てしない時間が経っていることを自覚しているなおっち、帰還後の地点ガイド、右ページの描写、心に詰まるものあり。

表紙がベタベタしてしまうのがちょっとイヤンだなと思いました。細事です。ありがとうございました。

「アエロシェパード1」 アグロシ

頂いたフリーペーパーの文章が面白なと感じたので、本作を手に取った。内容も知らずに読んだ。時期的な連想であって恐縮だが「ラストエグザイル」を想起させられる。いや、別に内容が被っているとかでは、全くない。飛んでるくらいか。

助数詞について面白いなというのがあって、「羽」で数えるのかと。何となく「頭」だという先入観があったの。しかし羽毛が生えているらしいので、鳥に近いのだろうし、で、あれば「羽」なんだろうな。納得した。

一文が割と短めなのだからして二段組を採用したのだろうかしら。なんというか私にとってステキな文章だ。面白かったです。ありがとうございました。機会があれば続きを読もう。

「自殺映画批評」 蛆虫プロダクション

自殺というテーマについては色々とあれだが、まぁアレがソレだし、立ち読みさせてもらってなんとなく手に取った次第でした。文章が割とガチだったので、一気に読んでしまいました。

映画も詳しくはないが、こういうのはX級映画になるのだろうか、分からない。グロの表現が多いので万人向けにはならない。私も決してグロ耐性強くないですが、うーん、面白いな、こんなに作品があるのですね。書店に並ぶ本にもこういう扱い方やテーマの本はなくはないのだろうが、出会う確率を考えれば、まあなぁ。

オカルトから一般的なエンターテインメントまで、ハッキリ言って人の死ぬ映画なんていうのは珍しくもないわな。そういう中で、殺人に焦点化された映画まで含めてみても、「自殺」というテーマは異色にみえる。三島周辺や米国のドキュメント系、便所紙幣の解説は印象に強い。

パッとページを開いたとき「川はみんなの飲み水」が登場して、本の上下を間違えたと思ったらやっぱり合ってたという!一人で笑ってしまいました。ありがとうございました。

「どうぶつだいーすき」 まめもやし

「もっと-」も含めて2冊を手に取った。絵日記形式であって、絵が地味に上手なような気がするけど、分からん。

絵日記って、上半分に絵を描いて下半分に文章を書くわけだが、下半分にもイラストが描かれることがあって、これって面白いな。子どももこういうこと、実際の絵日記でするかしら。

HUNTERXHUNTER のセリフパロディがクスっときたんだけど、これ2冊とも載っていて、発行日が同じだし、ミスなのだろうか。これは気になる。と、思ったら、草の描き足しがあるなぁ、1巻(?)のほうに。ミスっぽいが果たして。どういうことだらうか。表紙裏表紙の細工もささやかな笑いを提供してくれたのでした。ありがとうございました。